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113.押しつけない、教えない、で、できること

中学生の期末テストの結果が続々と返却されてきて

特に数学の答案を見て感心するのは、

「ほらね、自分でできるじゃん。」と、

それらの答案をここに添付してみなさんに見せたいくらいの、

それぞれの生徒たちが自力で勝ち取った成果

(まだ全員分見ていないんですけどね)

 

どんぐり学舎の中学生の授業は1年生から入試直前まで週1日2時間

全教科対応ですが助言が必要な数学と英語を中心に、

とにかく「教えない」

1年生は、正負の数から始まって、符号の略しかた、累乗など、

数学の基礎知識を身につけているところなので

多少、授業らしいことをするのですが、

2年生以上にはまず教えません

 

以前は、教科書準拠の問題集を使って、丁寧に教えてから演習をしていました

その方が「納得」してから取り組めて、わたし自身も落ち着いた心地でした

でも、毎日、いろいろな学年を…

年長さんから中3までの10学年を見ていて感じること、気づくことは多く

6年生までがっつり思考力重視の自由な解き方を見守っているのに

中学の勉強にはどう繋がっていくのか、試行錯誤するうち、

現在の授業にたどりつきました

そんなのとっくに知っていたことなのに、実践するに至らなかったのは、

生徒たちの「受け身姿勢」がやはり実現を阻んだから

とにかく「教わる」ことに慣れている生徒たちは、

「どうすればいいの?」「次なにすればいいの?」と

ただただ、従順に指示を待っているのです

 

「自分で考えて自由にやってごらん」

と声をかけると、小学生の入塾したての子たちもそうですが、

ものすごく戸惑うわけです

そこで、「わお!ほんと?じゃあ好きにやっちゃおう!」と生き生きする子と、

「…ええっ…そんなこと言われても…わかんないよ…」とつらそうにしている子の差は

家庭環境・育ち方にあります

勉強を熱心にさせているかとか、しつけをしっかりしてきたかとか、

そんなの関係ありません

家でも自由かどうか

遊びは自由か、自由な時間はたっぷりあるか、そういうことです

テレビやゲームなどの遊びは「自由」ではないのです

型にはまった、決まり切った遊びの域を出ません

習い事や宿題でいっぱいいっぱいの子に自由な時間はたっぷりありません

だから、たとえば、ちょっとめんどくさがりで、

送迎も大変だし、そんなにお金もかけられないわ~

でもテレビ漬けなんていやだな~子どもと一緒に遊んじゃおう~なんていう

のんびりした、自然体の親御さんのご家庭のお子さんが、

素晴らしく、幸運にも、能力を守られている可能性が高いということです

 

…話を元に戻します

「自分で考えて自由にやってごらん」

でしたね

ところが今、子どもの周囲を見渡すと、

「自分で考えて自由にやってごらん」

なんて声をかける大人はあまりいないのです

 

親御さんとして、ご自身がどうか、胸に手を当てていただいて…

先生方ももちろんですが…いかがですか?

 

最近、立て続けにいくつかの算数に関する質問が寄せられました

ひとつは、以下のような「二重数直線」にまつわる質問でした

5年生の「小数のかけ算」あたりから、この「二重数直線」が登場します

これを徹底的に教え込む先生と、そう強制するでもなく、でも、使い方を教える先生といるようです

近年、二重数直線については議論がなされているようですが、

わたし自身こうした教え方はもちろんしないし、小学校の算数の教科書そのものから

最近はすっかり目を離していましたから驚いたのですが、教科書に、あるんですね、この図

5年生ですから…

こういう抽象的な考え方?解き方?を受け入れてくる時期ではあるかもしれませんが、

「使い方」「解き方」を教わって、これが習得できたところで、

この先のなにに繋がっていくか、

この先につなげるだけの習得に果たしてなっていくのか、

色々考えると、ただこの単元で、この二重数直線を正確に書けることだけに熱心になることに

疑問を抱きます

悩んでいる子、多数。

そしてもしうちでこれを解いたら、こうなる

どういう順に描いていったかが重要ですがそれは読み取っていただくとして…

幼稚ですねえ

こんな幼稚な考え方じゃ、それこそ中学の数学にたどりつけないんじゃないの?と

思われますか

そうですね

この問題レベル自体が、どんぐりでは年長さんコースか、1年生コースでしょうか

解けちゃうと思います

0.5の意味がわかれば

「小数を教わっていない!」とか、言わないんですよ、日常で、算数体験が豊富な子は

「倍」とか、「半分」とか、「等分」とか、全部、日常にあることです

0.5と、0.34とは訳が違います

0.5や1/2は身近にあるし、「言語」として使われている数値ですから

算数の知識というより語彙力に近いです

 

さて、二重数直線、かけ算はまあまあわかるけど、割り算が…

今度は割り算だから矢印が反対を向いているんですね

そして200÷2.5をすると答えが出る、と…

どうでしょう

納得いきますか?

しかも、数直線を描かなければなりません

そう、たたき込まれている子たちがいます

 

わたしが小学生の頃、この問題をどのように考えて解いていたか、覚えています

これがまた、割られる数も小数だったりすると、もう訳がわからないわけです

 

塀を塗る時、1dLで0.3㎡塗れるペンキがあります

では、0.75㎡塗るには何dLペンキが要るでしょう

 

なんて問われると、頭の中ひっちゃかめっちゃかになってしまいました

 

そんなときは「小数だからわけわかんないんだ」と自分に言い聞かせ、

0.3㎡を3㎡に、0.75㎡を75㎡に勝手に書き換えてしまいます

別に、10倍とか100倍とか、そんなのどっちでも、ただ、整数に

すると、不思議と見えてくるのです

3㎡塗るのに1dLってことは…75㎡は…3㎡なんこ分、ってことかな

75÷3…じゃなかった、0.75÷0.3かな、って

 

まあ、数学的センスがある人は抽象的だろうが小数だろうが分数だろうが

ぱぱっと即答できるのかもしれません

でも、特にセンスを持ち合わせていないわたしは自分で工夫するしかありませんでした

先生は特に、解き方を指定してこなかったと思います

塾に行っている子は、「これ÷これ!」と体得していたし、

わかんない子は全然わかっていなかったでしょう

 

さて、上の布を買う問題、絵で解くとこうでしょうか

わわ…ちょっと…下手すぎる…

 

二重数直線は、この後、割合、百分率などにも利用されていくようです

教科書に載っているということはこれが「主流」なのですね

確か、以前は二重数直線ではなく、タイル図が主流だった気がします

あれも正直…難しかった覚えがあります

教えるのもややこしいし、理解させるのも難しい

きっと、頭のいい、数学的センスのある算数・数学の専門家の方々が知恵を寄せ合って

いかに子どもたちに習得させるか、と日々議論に議論を重ねて、

こういった指導法がいくつも、次から次へと、表れてくるのでしょうね

おおもとは子どもたちへの愛だった、と…信じたいのですが…

 

いつも、思うのですが、

なぜ、押しつけるのでしょうか

なぜ、ひとつの解き方にまとめようとするのでしょうか

小数で小数を割るということを習得させるために

単元テストでクラス平均点を上げるために

とにかく徹底的にたたき込むことで

子どもに残るのはなんでしょうか

 

こうして、どんぐりで言ったら年長さんでも解けそうな問題を、

わざとおどろおどろしく、難しくして、

しかも、パターンで解かせる練習をさせて、

それで、

どんな中学生ができあがると、

どんな数学への準備ができると思いますか?

 

「自分で考えて、自由にやってごらん」

なんて、言うのには勇気がいるようです

自由にさせておいたら、なにをしでかすかわからない

最初から縛り付けるのですよね

生活面も、勉強面も、全部

その結果、自主的には動けない生徒ができあがっていきます

学校の先生達が、今の管理教育、管理体制をやめてくれないかぎり、

子どもたちは身も心も、脳でさえも、

自由からはほど遠いところにある、ということを、

各家庭は知らなければならない、そして、

なんとかして守らなければなりません

(学校にも、きっと、いる。いると信じたいです。「じゃないほう」の先生が。)

 

公式を忘れてしまっても、パターンを忘れてしまっても、

一番の武器が自分の頭脳にある生徒は、自力で食い下がります

その頭脳さえ持っていれば、誰かに提供されたパターンでさえ、

うまいこと活用することができるようになります

そしてなにより、誰しも、自分で考える方が楽しいのです

いつの間にか面倒くさく感じてしまっている「自分で考える」ということは

何度も書きますが、麻痺してしまっているだけ

子どもは本当に、自分で考えるのが好きなのです

楽しい方が意欲もわくし、やる気も出る

そんなの当たり前のことです

 

対策問題など配らずとも、

解き方を教えなくても、

毎日家でがっつりテスト勉強をしたわけじゃなくても、

満点近い点数をとってくる生徒たち

 

中学生からは塾が不要になるどんぐり式

でも、

他塾に行ったら解き方を教わってしまいます

管理され、与えられ、こなすだけでなんとなく点数がとれる、というコンベアーに乗り、

途中まで楽々と進めるかもしれません

ここに通う数倍、数十倍のお金と時間をかけて、

それでもわが子にはその道が、という方には移動していただきましょう

 

中学生にとってのわたしの、どんぐり学舎の、存在意義は?と

自問自答した頃に見た期末テストの答案

「自分で、自力で、やってみる!」と推し進めた結果です

 

そうだ、わたしは、小学生の頭脳を守るために奔走するのと同じように、

中学生の頭脳も守って行かなくちゃならないんだ

と決意したのでした

 

でも、どちらも、家庭でできます

家庭ですればいいのです

情報に振りまわされず、噂に惑わされず、

本当に強く、賢く、心豊かな子は、家庭で育てられます

《2015年 7月2日投稿》

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