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94.天まで伸びる子どもたちを支えて

新しい年が始まりました

どんぐり学舎にもクリスマスとお正月がぱたぱたとやってきて

赤い顔した子どもたちがちょっと興奮状態で

我先に、とおしゃべりしてくれる

そんなわくわくの冬休みもあっという間に終わりました

 

年の初めに

だぁれもいない学舎の部屋にひとり座って

ことし、わたしにできることはなんだろう、と改めて考えました

 

昨年の終盤には

2020年度をめどに大学入試センター試験の廃止、

入試の内容についても「覚える」から「考える」へ改革されていく、

というニュースが教育業界を騒がせました

 

「覚える」から「考える」への転換…

いったいどんな試験で、子どもたちの「考える力」を測るのか、

実際に行われるテストを見てみないとなんとも言えませんが

ちょうどわたしの長女の年齢(現在小学校6年生)の子どもたちが

大学入試を迎える年からの改革ですから、

いま、小学生をお持ちの親御さんたちの耳には

興味深く入ってきたニュースかもしれません

 

どんぐり倶楽部の糸山先生は最初から「考える」力が最も重要だと

伝え続けているし

ただ「覚える」だけの学力は本物の学力ではないと

伝え続けています

 

わたしももちろんその一心で、この教室を開いている訳なのです

 

さて、子どもたちはどのようにして

「考える」力をその入試改革とやらに向けて伸ばしていくのでしょう

冬期講習生募集や、入試対策講座でまだまだ塾生を募集している進学塾の広告を見ると

早速、「2020年入試改革に向けて思考力を伸ばします!」というような文句が並んでいます

その、方法論は持っているのでしょうか?

「これが思考力を問う問題だ!」とまた莫大なサンプルを問題集にして、

片っ端からパターン学習のように覚えさせるのではないでしょうか

それを「思考力養成」と名付けて…

 

学校の先生はどうでしょうか?

方法論は持っているのでしょうか?

子どもたちの学びに最も必要なのは

暗記力や計算力ではなくて思考力だという

そんなごく当たり前のそんなことを

どこまで知っていて、どこまで研究されているのでしょうか

 

一緒にしては申し訳ないかもしれないけれど、

学校の先生でも、塾の先生でも、

わたしたちは教育を職業とする、プロフェッショナルです

1円でも報酬を頂く限り、わたしたちはプロとしての仕事をしていることになります

日々、研究を怠らず、全て子どもたちのために捧げることが

プロとして教壇に立つわたしたちの使命です

 

今年も変わらずわたしは、今まで通りの方法で

子どもたちと向き合っていきます

小学生にはどんぐり倶楽部の良質の算数文章問題を通して

中学生にはQノート(わからん帳)を通して

ひとりひとりの、学び取る力を育てたいのです

受け身ではなく、教わるのではなく、覚えるのでもなく、

学び取る力、自分で考えてみる精神力、向学心を育てたいのです

 

育てる…なんておこがましい

よい土壌に種を蒔けば

雨に湿らされ

太陽に照らされて

自然と芽生え、伸びていきます

化学合成した肥料など与えずとも

こっちの都合で成長を促すようなことをしなくても

よい土壌と

お天道様と雨さえあれば

勝手に、どんどん、伸びていくのです

根っこを伸ばし、

空に向かって枝葉を広げ、

やがて花を咲かせ、また種を落とすでしょう

 

わたしたちの仕事は、

種が育つ土壌をよく耕すのみ

育てるのではなく、育ちをじゃましないこと

余計な物を与えて、まっすぐ伸びたいのを曲げてしまうなんて

もったいない

 

なんにも教えていないのに

勝手に進化していく子どもたちを目の前にしていると

こんな姿を全ての親御さんにお見せしたい、と思うのです

言葉でいくら説明しても

すぐに理解してくださる方は少ないです

糸山先生からお借りしたビデオカメラも

なかなか活用できる状態にできず

ただただ、わたしだけが毎日、子どもたちの素晴らしい進化を、

言葉では言い表せない成長を目の当たりにする喜びを、

独占してしまっています…申し訳ない

今年は何とかしてこの喜びを分かち合っていただけるよう工夫します

 

そこで

ふっと思ったのです

いつのまにか全曜日満席になってしまったこのちっぽけな教室にひとり座り

夕方から夜更けまで

まるでお祭りのように賑やかに子どもたちが出入りする時間を

どの子も優しくて

どの子もあたたかくて

どの子も笑顔で

ひとりひとりを思い出していました

 

…もちろん、最初からではないのです

最初はわたしを、「塾の先生だ」と構えてビクビク見つめる子

次なにやればいいの?と指示を待つだけの子

自信なさそうに怯えている子

なにかしらのストレスをここで吐き出すだけで帰る子

まだまだ、何かしら抱えてる子はいます

でも、やっぱり笑顔になってくる

そして、必ず優しくて、あたたかな、本来の子どもらしさを取り戻していきます

 

わたしはなんにもしていません

ただ、受け入れるだけ

時には捌け口になり、時にはサンドバックのような気分になり、

映画グリーンマイルのジョン・コーフィーが悪いものを吸い込んだあとみたいに

どどっと疲れて、正直、落ち込むこともあります

でも

子どもは絶対に悪くない

ちらっとよぎるのは親御さんの影(笑)

 

気づいてください

この役目は私だけのものではないのです

親御さんに、できること

親御さんが、すべきこと

わたしも親として、我が子にしているのです

 

ただ、受け入れる

肥料をてんこもりにするように色々させるのではなく

お天道様の光がちゃんと当たるように

雨で湿るように

見ていてあげること

成長が鈍ったら

なにが原因か、探してあげること

雨がしばらく降っていないのかも

そしたら水をかけてあげればいい

悪い虫がかじってしまったのかも

そしたら取り除いてやればいい

 

子どもらしく、素直で、優しく、穏やかな子が増えてきたどんぐり学舎

すべて、親御さんのそんな努力のおかげです

 

この仕事を始めて20年以上が過ぎました

その間にわたしも親となり、

いま、ようやくはっきりと断言できることは、

親が変われば子どもは変わる

子どもは絶対、悪くない

どの子も、天まで伸びます

授かった時の喜びを

生まれてきてくれた時の感動を

柔らかくて小さかったあの頃の毎日を

どうかいつまでも忘れずに

 

どうか本年もよろしくお願い申し上げます

 

どんぐり学舎  泉聡子

《2015年 1月9日投稿》

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