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20.虫たちの季節

夏です

虫たちの季節です

家にいても 外にいても

虫たちと遭遇する機会が一年間で圧倒的に多いこの季節

みなさん大人は、もうとっくに虫のほとんどを害虫と認識

もしくは好ましくないものと生活から除外したい存在と

決めていらっしゃるかもしれません

 

我が家でも無薬故庭の木々や畑に虫がつけば格闘しますし

庭にいればヒトスジシマカが襲ってきてかゆいかゆい…

家の中にはアカイエカが潜んでいて、深い眠りに落ちた丑三つ時に活動し出すのには

もう本当に迷惑です

 

でも

十年ほど前でしょうか

夫とどこかの町を旅行中に見つけた看板には

驚かされました

 

《ハエや蚊のいない住みやすい町にしよう》

 

わたしたちもハエや蚊が好きなわけではありません

ハエや蚊は…確かに人間にとってはほとんど直接的には悪いことしかしない

害虫かもしれません

でも

かなり驚かされました

すごくすごく人間の自分勝手さがにじみ出ている標語だなあと驚愕でした

 

果たして地球上に

いないほうがいい存在などいるのでしょうか

みんなそれぞれ、なんらかの存在意義があるのではないでしょうか

いつも家族でこの話になると、一番の害虫(害生物)は

人間なのではないかという結論になるのです

 

最近、虫を極端に嫌う子どもが多いです

塾は夜に授業しますから、夜中に煌々と光る教室のあかりめがけて、

虫が集まってきます

間違って教室に蛾でも迷い込もうものなら

授業は成り立たなくなります

蛾なんてなにもしないのに

ただ、そこにいるだけなのに

これが危ない蜂や蚊ならちょっと話がちがうけど、

虫はみんな一緒

とにかく気持ち悪くて怖い、いやなものでしかないのです

 

庭に雀の死骸がありました

カラスに襲われたか、壁や窓に激突して落ちたか…

むすめたちが発見して青い顔をしてわたしを呼びに来ました

雀の死骸には何匹かの虫がついていて、

もうすでに自然界での処理作業が始まっている様子でした

 

むすめたちは雀をかわいそうに思い

なんで虫がついているのかと嘆きました

雀を丁寧に葬った後、むすめたちにわたしは話しました

 

虫だってお父さんやお母さんで、おうちで赤ちゃんが待っている

これから結婚して赤ちゃんを育てる虫もいる

みんな一生懸命子育てをしているんだよ

雀が死んでしまったのはかわいそうだけれど、

雀の体はあのままにしておいても自然となくなるの

たくさんの虫たちが自分たちが生きるために少しずつ運んで、

最後の最後は菌類が土に戻してくれるの

彼らがいなかったら、虫や動物の死骸や排泄物はずうっと地面の上に残って、

毎日毎日わたしたちが掃き掃除して袋に入れてゴミ収集車に持っていってもらわなくてはならない

虫たちもカビも菌もみんなして地面をきれいにしてくれているんだよ

(ま、きれいにしてる自覚はないのでしょうけど・笑)

 

大人になると虫が触れなくなるのはふつうのことかもしれません

10歳になるわたしの長女も

去年触れた虫が触れなくなっている、とふつうの進化をしています

怖いし汚いし気持ち悪いと嫌がるのは仕方のないことかも

でも

子どもは生まれ持って虫が嫌いなはずはないのです

小さな子は躊躇なく触りたがりますし、飼いたがります

最初から虫が苦手、ということはないはずです

親が積極的に虫を好きにならなくては、なんてことはありません

ただ、地球上に生きている生物の、人間もただの1種類なのだということは

忘れないで虫たちに接していただきたいのです

住宅の機密性が増し、わたしたちの生活に侵入する(?共存する?)虫の種類も減りました

虫のいない部屋のなかで過ごすわたしたちは、もう生活に虫が入ってくるのは不快になりました

 

危険な虫も多いですからなんでもかんでもということではなく、

子どもにとって初めての自分以外の自然界の生物との出会いを

少しだけ余裕をもって見届けてあげてほしい

 

幼い子が「虫なんか大嫌い」と泣いて騒いだり残酷に踏みつけ続けたり

ほんの数㎜の虫の存在が授業を崩壊させたりする様子を見ていると

この子らにこんな感覚を植え付けたのはいったい誰なんだろう…と

 

中学の理科で生態系を学びますが

もしかしてその頂点にいるのが人間なんだと勘違いしてしまうのではないかと

悲しいかなそんな傲慢な人間一族には彼らもわたしも違いないのですが…

でも

地面を掃除するどころか

平気で道路にゴミを投げ捨てて

掃除する職業のヤツがいるんだからいいんだろ

なんて言っている人間は本当に地球上に必要なのか?と同族ながら思うのでした

 

今森さんの写真は虫たちへの愛情が感じられて大好きですが

なかでもおすすめはこの一冊

大人にはうわ~と思う写真も多いですが

わたしたちの身の回りにいる虫たちのありのままの姿が見られます

 

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みんな、一生懸命生きているんだなあ

と当たり前の気持ちが湧いてきます

 

昔、ここには道もなく、家もなかった

わたしたちよりずっと前からここに住んでいる生きものたち

住まわしてもらうなら、先住者への畏敬の念を忘れてはいけない気がします

《2013年 7月16日投稿》

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