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90.教育格差?お財布じゃなく、子どもの目を見よう

ここのところ、「教育格差」という言葉と、記事をよく目にします

この記事も大きな特集記事でした(11/27 朝日新聞)

 

そしてわたしは、わたしの教室をとりまく方々や、教室とは無関係の知人の方々などの

教育を見ているとまた、確かに「格差」を感じるのです

それは、お金があるかないかの「格差」ではなく、

文化的な格差というか、もっともっと基本的な生活そのものの格差というような

 

生活そのものの質を考えたり、省みたりすることもなく

ただただお金をかけて「教育」をつける

「お金」を払っているからにはその効果や成果を期待する

そんなことが当然のように周囲で流行しているのです

日々の生活でちょっとした意識をするだけで

お金なんかかけなくても賢い子は育つのに

それには目を向けず、省みることもなく、周囲の流行や宣伝文句に流されて、

結局、肝心な時に膨大なお金を積み上げないとどうにもならない状況になっている

そんな式が

多くの「お金儲け」主義の教育業者を潤しているような気がしてならないのです

 

「より早く」駆り立てる不安

早く、もっと。迷いながらも、より良い教育を求める親たち。お金をかけられる人と、かけられない人との差は広がるのか。

塾、受験…お金どれだけ

中略

ベネッセ教育総合研究所の2012年の調査では、3歳児で46%、5歳児で76%、小学1年で85%が習い事をしている。13年の別の調査では、「子どもの将来を考えると、習い事や塾に通わせないと不安である」と答えた母親は55.5%で、09年に比べ約4ポイント上昇した。

中略

中野区の母親は、最近、中学生の姉がいる同級生の母親から、気になる話を聞いた。自主学習が中心の教室から、中学受験に備えるための塾に移るか悩んでいるという。地元の区立中には、小学校時代に受験塾に通っていた子が多く、レベルが高い。だからいまから塾に通っていないと、高校受験のための内申点で不利になる、というのだ。母親は中学受験をさせるつもりはない。将来は海外の大学への進学も考え、学費をためておきたいと思う。「中学でいい成績を残すために、小学生の段階で塾に走らないといけないのだろうか。」そんな疑問もある。でも、若者の就職が厳しい中、自分の子どもには何か「強み」をつくって欲しいという思いも捨てられない。現在、水泳やサッカーを含め、2人にかかっている習い事の費用は、月に約3万5千円。近く、英会話教室も加わる。そこに、さらに高額の受験塾の費用が上乗せされると…。

「体験活動」も買う時代に

幼児期から学習塾に通わせる親がいる一方、アウトドアなどの「体験活動」も人気を集めている。首都圏を中心に展開する学習塾グループは今年の夏休み、石の図鑑作りなどをする体験学習ツアーを昨年から倍増させ、30種類以上用意した。親からの要望が多く、「ただのキャンプではなく、塾がやる体験活動というところが支持されている。」と広報室。

東京都江東区に4月、野外活動を通じた「リスク教育」をうたう「アウトドアクラブハウス学童クラブ」が登場した。ナイフの使い方やひもの結び方なども指導する。幼児から小学生まで12クラスあるが、キャンセル待ちが多く、来春から30クラスに増やす予定。入会者は、豊洲地区の高所得層が中心だという。

4歳の長男を通わせる母親は「小2の長女には、勉強系の習い事を押しつけてしまった」と反省している。「姉とは方向を変え、自分で考えて行動できる自主性の頭の柔らかさを育てたい」と入会した。

国立青少年教育振興機構の調査では、自然体験など子ども時代の体験活動が多い人は、少ない人より学歴や収入が上回っていた。文部科学省の諮問機関、中央教育審議会は10月、プレゼン能力などの評価も含めた新しい大学入試を導入する答申案を示した。「体験活動も買う時代」になると、新たな教育格差につながる可能性もある。

 

わたしの教室のある群馬県とは

ちょっとかけ離れた話であるように思える点もある一方、大手塾が「体験教室」を展開して、

そのニーズがどんどん高まっているという点で

その波がこの辺りにくるのもそう遠くはないのだろうな…と考えるのです

少し前からわたしも、「遊び塾」みたいなの、やりたいな~って声に出してはいるのですが、

それは、子どもに絶対的に「遊び」が足りない、と憂慮しての案で

大人が努力して、なんとか自由な場所と自由な時間を確保した上で、

子どもたちをぱあっと解放してあげられたら、

きっと、それだけですごくいい時間になる

そう、考えているからなのです

以前、書きましたが、だって、子どもだけで自由に遊ぶ場所を探すことが、

この群馬でさえ困難になってきているのです

 

もしどんぐり学舎に「校庭」があったら、

子どもたちが集まってきたらまず

鬼ごっこやらボール遊びやら竹馬やらなんやら、汗をかくまで遊んで、

それから

部屋に入ってお茶を飲んで手作りをお菓子やおにぎりをほおばって、

それからそれから

どんぐり問題を1問か2問、好きな場所で好きなように解いて帰ろうか

って

そんな風にできたらなあ、って毎日考えながら子どもたちを出迎えるのです

小さな家の、狭い部屋では限界がありすぎて、

せめてものカードゲームやボードゲーム、

おしゃべりやふざけっこ、で、まずほぐしている訳なのですが…

それでも、「なんにも言われない」「なんにも決まりがない」教室で、

子どもたちはわりと生き生きと、好きなように

リラックスして時間を過ごし、

やや難しい問題には闘志めいた目つきをめらめらさせながら取り組む時もあり

とにかく

全ての子どもたちの自由な姿が愛おしくて

ああ、こんな子たちを縛り付ける教室もたくさんあるんだろうな…と思うと、

もったいないなあ…と

 

でも、まだこの辺りなら、自然も豊かに残されているし、

たとえ住宅街でも子どもと散歩するだけで小さくて、けなげな自然を見つけることができます

石ころや、木の実だって案外落ちているし、

小鳥だって、すずめだけじゃなく結構いろんな種類が暮らしています

虫だってそうです

お金を払って体験させなくたって、いま住んでる環境でできることはたくさんあるのです

 

子どもの能力がどういうとき発揮されるのか、どういう風にあいたいすると伸びていくのか、

教育の専門家なら全員知っていてしかるべきなのに、

いまや、学校の先生はもちろん、教育業界の多くの人々も本来の目的を見失って、

そう、主人公である子どもさえまっすぐに見ていなくて、

課題や、上からの命令や、ノルマや、成績にとらわれすぎている

そんな風に見えて仕方ありません

 

親御さんはどうでしょう

 

この記事に出てくるような、子どもの将来をやけに具体的に描いている方が

そう多くはないにしても、設計図を描くのは親ではなく本人だということ、

いずれ独り立ちする我が子に、

自分で考える力と立ち向かう勇気や能力を身につけさせるために、

一緒にいる間どう過ごすべきか

なにをすべきで、なにをすべきでないか、

お金があるとか

ないとか

全然、実は関係なくて、

わたしには

心があるか、ないか

だけなんじゃないかと思うのです

 

この記事には他にも、加熱するアジアの教育熱の特集と、

あと、最後にひとつ、発達心理学の教授のコメントが

 

学ぶ楽しさ 基準にして

十文字学園女子大学 内田信子特任教授(発達心理学)

2011~12年に調査したところ、家庭の経済力にかかわらず、5歳後半の読み書きの力には差はなかった。知的能力の指標になる語彙力は、習い事をしている子の方が高かったが、それは見かけ上の違いで、語彙力に最も影響を与えていたのは、母親の養育態度だった。強制的に何かをさせるのではなく、子どもに共感するスタイルだ。塾も慎重に選ばなければ、学校の勉強と塾の宿題に追われて、すっかり勉強嫌いになってしまう事例も多い。やめさせる気持ちを持ち、何よりも子どもが楽しんでるか、学ぶ楽しさを感じているかを基準にすることが必要だ。

 

なんで「母親」限定なのかなあ…?と

いつもこういうところで母親次第というのが気になる記述なのですが

それは別の時に言及するとして…

以前も別の記事で、「家庭内の文化度が教育格差を生む」というのを読んで

なるほどと思ったのです

どういう家庭環境の子が、いわゆる成績がよくて、どういう環境の子が成績がよくないか、という

ちょっと変わった相関を調べた記事だったのですが

まとめると、

 

成績がよい子の環境

・自然体験が多い

・ゲームやテレビの時間が少ない

・家族と美術館や博物館にでかけることが多い

・家族との会話が多い

・手作りの食事を多く摂っている

成績がよくない子の環境

・日常的にカラオケやゲームセンターに家族で行く

・ファーストフードで食事を済ませる

・親が子どもの前でスマホをいつでも使っている

・ゲームやテレビの時間が多い

 

…当たり前でしょ…?という点もありますが、上の記事と共通している部分もあり

そもそも、そこを正せないままいくら教育にお金をかけたとしても

無駄なんじゃないかなあ…と思うのと、

ゲームもスナック菓子もやめられない状態で「勉強が嫌いで困っている」と

相談されても、

それは…甘いものもハイカロリーなものを食べるのやめられないし運動もしたくないけど

どうやったら痩せられる?と

相談されるのと同じなのです

 

そして最も恐れるべきは

「勉強がきらい」とも言わず、愚痴も言わず、

習い事や宿題をこなし、がんばっている子どもたちの内面

「学ぶ楽しさ」、どうでしょうか

「生き生きとした目」はどうでしょうか

やっぱり親は見ていなくては

お金をかける以前に、子どもの目を毎日、じっと、必ず。

そして

お財布と相談する前に、徒歩で、家の近所に、または、豊かな自然の場に、

子どもと散歩に出てみましょう

それが無料でできる一番簡単な「体験活動」です

《2014年 12月5日投稿》

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